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6月8日、セラミックス繊維の衝撃とCMO

 米国出張報告で報告(会員専用ページにアップ)したように、米国はGE社のセラ
ミックス繊維で盛り上がり、USACA(米国先進セラミックス協会)の新会長も、今
月、ボーイング社からGE社へ交代した。

(セラミックス繊維)
 セラミックス繊維は、GE社のLEAPエンジンの成功で革命を起こしている。GE社は、
昨年のノースカロライナ州に開設した米国初のCMC工場に続き、今年は2億ドル(約
240億円)を投じて米国アラバマ州にCMC量産工場を建設する。
 このセラミックス繊維は、日本カーボン社が開発した日本生まれの技術。金属材料
の3分の1と軽量でありながら耐熱温度は金属材料より20%も高く、金属並み以上の強
度がある素材。ただ、日本はセラミックス繊維の実用化のスタートで出遅れてしまっ
た。「研究は、突然のひらめきに頼って進められるものでない。戦略的アプローチを
組み立て、忍耐強くハードワークを継続することが大事」とGE社は言う。かつ、「日
本の高い技術力とGEがもつ事業化力やグローバルな販路とを組み合わせることで、イ
ノベーションを加速し互いに利益を得る」と。
 今後、航空機以外にも発電、船舶、工業へ広がるセラミックス繊維の市場では、日
本がポジションを確保するには、出口の明確な産学連携、コラボレーションの成果の
共有が不可欠である。これが出来なければ日本勢が国際的な主導権を握るというシナ
リオは描きにくい。

(CMO:最高マーケティング責任者)
 GE社の事業部門の枠にとらわれず難題の解決に向けた革新的な取り組みで実際の
結果へとつなげていく力は、米国のCMOにある。日本では、まだ馴染みが薄いCMO
(Chief Marketing Officer)は、米国企業のる幹部役員職の一つで、マーケティン
グに関する全社的な統括責任者、最高マーケティング責任者である。マーケッティン
グの要素は社内の様々な部署が関係しているため、各部署のスキルを統合し企業の価
値・ブランドの向上に向け横断的に統括する機能が必要で、日本は米国に比べて弱
い。
 2003年にGE社の上席副社長兼CMOに就任したBeth Comstock女史は、マーケットアプ
ローチに当たり「You have to create a platform that invites innovative ideas.
” This platform involves four capabilities that have produced an array of
new products, services, customers, and business models」と述べてい
る。ビジネスに対する執念を感じるのは私だけでない。





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