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ドラッグデリバリーシステム(DDS)が病気を狙い撃つ(20160912)


 今後のフィンセラミックス応用分野で期待されるひとつはバイオセラミックス。11月のJFCA設立30周年を前に厚生労働省医薬・生活衛生局武田局長から頂いた祝辞に、「革新的なファインセラミックスの活用方法として、薬物送達システム(DDS)の実用化を望む」があり心強く感じた。
 今年4月、北米最大の展示会CERAMICS EXPO2016で講演したバイオセラミックス会長に米国企業のDDS研究を聞いたところ、沈黙との回答。つまり、水面下で盛んに研究が行われていると言う。
ドラッグデリバリーシステム(DDS)は、薬が体内の必要な所に届けられるもので、最初は薬の成分を徐々に放出する研究から始まり,特定の場所にだけ届け他の細胞には影響を与えないターゲティングの薬物伝達システムである。薬を飲んだ時、実際に患部にたどり着き薬効を発揮するのは、飲んだ量の極めてわずかに過ぎず、また、必要のない部位に作用し副作用を引き起こしたりする。薬の持つこのような欠点を改善する技術がDDSである。
 DDSは、薬の投与から薬効まで、薬物の体内動態を1つのシステムとして捉え制御する究極の創薬システム。薬の効果がより的確なものになり薬の量や投与回数を軽減し医療費削減や副作用を軽減し患者の負担を軽減できる。さらに、これまで治癒が困難とされてきた難病にも活路を開く。大半はポリマー主体であるが、ここに担体材料として生体親和性の良いナノサイズのセラミックス微小球を用いるもので方式はいくつかある。
昔から、適切な量の薬を投与することは医療の大きな課題で、薬が少なすぎると効かないし、多すぎると副作用が出る。毒と薬、両者の違いの紙一重をセラミックスで解決出来れば新しい歴史が始まる。





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