経済産業省 素材産業課よりお知らせです
【第1回 AIロボティクス戦略検討会議 概要】
1.AIロボティクスの市場動向
●我が国は産業用ロボット市場で約7割のシェアを誇るも、近年はシェアが低下傾
向。また、製造業以外のサービスロボット市場では米欧中に後れを取っている。
●ヒューマノイドを中心とする多用途ロボット*の世界市場は、2030年頃を境に急拡
大し、2040年までに約60兆円規模へ。
<米中のロボット分野における投資・資金調達の状況>
●米中では、自動車や半導体メーカーもロボティクス分野に進出。既存のAIインフラ
等も活用しつつ、1兆円超えの研究開発や設備投資が進み、ユーザーと協業しながら
ヒューマノイドを中心とする多用途ロボットの商用化に向けた開発競争が激化。
●スタートアップも、米中は時価総額数千億円~数兆円、資金調達は数千億円規模だ
が、日本は最大数百億円に留まる。
2.近年の技術的ブレイクスルー
●ソフトウェア側では、大量のデータをAIに学習させ、自律性や汎用性を高めたAIロ
ボティクスの開発が加速。
●ハードウェア側では、EVや自動運転の開発進展等により、ロボットに必要な部品の
量産が進むとともに、部品の共通利用や開発の効率化により、部品価格が大きく低
下。
<AIロボティクスによって実現できること>
●従来のロボティクスは、ある環境で決まったタスクを正確かつ安定的に行う高い信
頼性が確保されている一方、開発の柔軟性の低さや異なった環境における自律的判断
が困難。そのため、少量多品種市場(ロングテール市場)に対応するには、個々の
ニーズに応じたそれぞれのロボットを開発する必要があり、長期の開発期間と高コス
ト構造から困難が生じている。
●ロボットの高コスト構造を解消するため、多様なユースケースで活躍可能な多用途
ロボットの開発が不可欠。AIの発展により、①多様な動作の実現、②人と接する等の
複雑な環境への対応も可能な多用途ロボットの開発が期待できる。
3.足下の政府の取組
<開発制約への対応:ロボットの機能の分割化とソフト開発基盤の構築>
●ソフト・ハードが垂直統合した現在の開発基盤では汎用性・拡張性が乏しい。
●少量多品種市場での国産ロボット供給に向け、既存のオープン開発環境を活用しつ
つ、その課題である、ソフトウェアの信頼性・安定性を検証・選別する基盤を新たに
構築する。
●高い国際競争力・信頼性を持つ国内ロボメーカと共に、ハードウェアのオープン化
に向けた投資を推進し、供給制約を解消。 ※懸念国対策としても必須。
<技術制約への対応:ロボット分野におけるデータ収集とAI開発の促進>
●フィジカル分野の基盤モデルにより、従来は難しかった汎用・自律的なロボットの
動作が可能に。米中では、プロプライエタリにデータを蓄積し、基盤モデルを開発す
る動きが加速。
●日本では、オープンなデータ基盤の成長を加速させることにより、基盤モデルの開
発や社会実装を促進する。
4.AIロボティクス戦略の策定に向けた取組
<供給側と需要側が一体となった取組の必要性>
●多用途ロボットは、現時点で大きな国内需要が見込めないため、供給側の企業に
とって開発・生産の投資リスクが高い。一方、米国や中国では、国家的な後押しも
あって、民間企業が多額の資金を調達し、大規模な投資を実施。
●また、国内の労働力確保の観点から、人手不足に悩む小売や中小製造業、介護と
いったロングテール市場に多用途ロボットの導入が必要だが、個々のニーズに応じた
ロボットの開発は長い開発期間と高コスト構造から、短期的な実現が困難。
●多用途ロボットの初期段階にある今、一定の需要確保とロボットの開発・改善のサ
イクルへ長期のコミットができる官公庁や民間企業が先行市場を創出しつつ、供給側
のロボットメーカーが必要な開発・生産を行う枠組みが必要。また、各市場で導入す
る際の技術要件等の基準整備等も想定されるため、各所管省庁と連携した導入環境の
整備も必要。
<AIロボティクス戦略の方向性>
●多用途ロボットの開発・実装及びマーケットインに向けて、供給サイド・需要サイ
ドが一体となった取組を検討。
●供給サイドでは、AIロボティクスの開発・実装に不可欠なキーコンポーネントを特
定し、適切な支援策を検討する。
●需要サイドでは、各需要ドメインでロボットの普及が進まない原因を分析し、先行
して重点的に導入すべき需要ドメインやその導入条件と適切な支援策をセットで整理
した各分野ごとの実装ロードマップを策定する。
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以上
