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注目特許案件
2.2.1 旭硝子(株)近藤委員が推薦する特許
NO.223の「窒化ケイ素多孔体の製造法」を注目特許案件として推奨する。
本発明は窒化ケイ素多孔質体を、反応焼結法により安価に製造するプロセスを提供するものである。具体的には、金属ケイ素粒子を主体とする成形体を窒素中で熱処理することにより、実質的に窒化ケイ素からなる、平均細孔径30〜100nm、気孔率20〜40%の窒化ケイ素質多孔体を得る方法である。窒化ケイ素粉末にバインダーを加えて成型したものを加熱焼結する
通常の焼結法では2000℃近い焼結温度が必要であるのに対して、本方法では1600℃程度の温度で焼結体を得ることができる。また、得られた多孔質体は、高温、腐食性雰囲気下で適用可能なフィルター材料として、十分に利用可能な強度を有する。
近年、環境問題への関心の高まりから、動力用エンジンからの排気ガスや焼却炉からの排ガスを浄化するフィルターのニーズが増えている。また、コークス炉などの産業用炉からの高温排気ガスを改質して、水素や炭化水素を取り出し、燃料や工業用原料として利用しようとする試みが成されている。このように高温、腐食環境で使用されるセラミック材料としては、従来酸化物がよく利用されてきたが、耐熱性、耐腐食性に優れる非酸化物系セラミック材料があれば、適用できる用途範囲が広がると考えられる。
しかし、多くの非酸化物系セラミックスは難焼結性であり、焼結体を得るのに2000℃近い高温が必要であり、価格も高く用途が限定されていた。本方法を用いれば、高耐熱性、耐食性材料である窒化ケイ素多孔質焼結体を安価に製造することが可能になるため、新しい応用分野が開けて行くことが期待できる。
2.2.2 (株)いすゞ中央研究所 北委員が推薦する特許
NO.219の「金属酸化物焼結体及びその製造方法」を注目特許案件として推薦する。
本発明は還元性酸化物及び難還元性酸化物の固溶相から実質的になる金属酸化物粒子と,該金属酸化物粒子の表面及び該金属酸化物同士の界面に存在する金属粒子とを含んでなり,前記金属粒子が水素還元により前記禁則酸化物粒子から析出したことを特徴とする発明である.本発明によれば従来の触媒担持方法に比べて触媒粒子を均質かつ微細に分散制御することができるだけでなく,粒子の基材に対する密着性にも優れることから長時間にわたって安定した性能を得られる可能性を有し,さらに安価なプロセスであることから,各種分野への幅広い展開が期待できる.
2.2.3 石川島播磨重工業(株) 稲垣委員が推薦する特許
NO.202の「複合機構構造を有するセラミックス多孔体の製造方法」を注目特許案件として推薦する
本発明は水系のセラミックスラリーもしくは焼結助剤として働く元素を含む水溶液を加えたスラリーを用いて、特定方向から凍結させることにより一方向に氷を凍結させた後、真空乾燥して氷の昇華痕である気孔を形成させ、得られた多孔質成形体を焼結することによって巨視的に配向した気孔とその内壁に微細孔を有するセラミックス多孔体を製造する方法に関するものである。本発明によれば気孔率および気孔径の制御が容易であり、気孔の形成が成形体作製段階で終了しているため焼成雰囲気を問わず、いかなるセラミックスの製造にも適用可能である。また材料系の制約が少なく、溶媒が水系のため環境負荷の低減可能である。本製造方法で作製されるセラミックス多孔体は、気孔が配向しているため圧損が低く、内壁への微細孔の形成も可能であることから、脱塵フィルター、触媒担体、バイオリアクターなど幅広い用途への期待ができる。
2.2.4 日本ガイシ(株)川崎委員が推薦する特許
NO.243の「シリケート素質多孔体の製造方法」を注目特許案件として推薦する。
本特許は、極めて気孔率が高いセラミックス多孔体の製造方法に関するものである。通常、多孔体の気孔率と強度はトレードオフの関係となり、気孔率を高くすると、強度が低くなり、最終的に形状を維持できなくなってしまう。本特許のポイントは、層状構造をもつ粘土鉱物原料の使用、分散液中の気体の除去処理、凍結乾燥法の適用の組み合わせにより、最高99%の気孔率をもつ多孔体の製造を可能とした点である。特に、分散液の気体除去処理が乾燥後の粘土鉱物原料間の強度向上に寄与している点を見出したことが、本発明のブレークスルーとなったと思われる。本セラミックス多孔体の用途としてフィルター、触媒、断熱材、防音材などが挙げられているが、このような超高気孔率化の実現が、セラミックス多孔体の新たな用途展開に繋がることにも期待したい。
2.2.5 新日本製鐵(株)坂本委員が推薦する特許
NO.237の「親油性に優れた無機・有機ハイブリッド材、その合成方法及び用途」を注目特許案件として推薦する。
無機・有機ハイブリッド材は一般にゾルゲル法により作製され、耐熱性等の無機的な性質と機能付与可能な有機的な性質を併せ持たせることが出来る材料である。
本発明の親油性に優れた無機・有機ハイブリッド材は、耐熱性と柔軟性を持たせた上で、有機基としてフェニル基を導入することで親油性を付与し、潤滑油の存在下で使用される摺動部材として使用したときの摩擦特性を改善したものである。さらに、フェニル基より耐熱性に劣る有機基を同時に導入し、この有機基を熱分解させることで微小なポアを生成させることが出来る。この微小なポアが潤滑油の保持性能を向上させ、摩擦特性をさらに改善している。
本発明の親油性に優れた無機・有機ハイブリッド材は、平板状、球状等に加工して直接摺動部材として使用可能であると共に、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック等の他の材料表面に、原料である液状のゾルを塗付した後にゲル化(固化)させて摺動部材として用いることも出来、ピストンリング等への各種摺動部材への幅広い応用が期待される。
2.2.6 住友電気工業(株)小村委員が推薦する
NO.238の「粒子含有無機・有機ハイブリッド膜およびその形成方法」を注目特許案件として推薦する。
本発明は、粒子を面積分率で10〜99%含有し、三次元網目状の骨格が有機基で修飾されたシロキサン結合を含む、基板上に形成された無機・有機ハイブリッド膜、およびその形成方法に関するものである。本発明によれば、無機粒子と無機・有機ハイブリッド形成用ゾルとの比重差による無機粒子の沈降、無機粒子の含有率が高い場合の混合の不均一、できあがった膜に発生するのクラックやポアといった問題が解決できる。また、無機粒子、有機粒子、無機・有機ハイブリッド粒子など種々の粒子を用いることができ、自己潤滑性を持つ粒子を含む場合には潤滑膜、吸着性・分子ふるいなどの機能を有する粒子を含む場合には分離膜、というように幅広い用途への応用が期待できる。
2.2.7 (株)東芝和田委員が推薦する特許
NO.219の「金属酸化物焼結体及びその製造方法」を注目特許案件として推薦する。
本発明は還元性酸化物及び難還元性酸化物の固溶体相から実質的になる金属酸化物粒子と,該金属酸化物粒子の表面及び該金属酸化物同士の界面に存在する金属粒子とを含んでなり,前記金属粒子が水素還元により前記複合酸化物から析出したことを特徴とする発明である。本発明は、従来法に比べて触媒粒子を均質かつ微細に分散制御することができるだけでなく,粒子の基材に対する密着性にも優れたものを提供するもので、長寿命で高機能な触媒を安価に製造することができる。また、新たなナノ複合材料の合成方法として、様々機能材料分野へも適用できる可能性を有している。
2.2.8 電気化学工業(株)伊吹山委員が推薦する特許
NO.250の「炭化硼素−二硼化クロム焼結体とその製造方法」を注目特許案件として推薦する。
本特許は、セラミックス材料の中でも用途が限定されたマイナーな存在であった炭化硼素セラミックスの機械的特性を改善したものである。
高硬度・軽量といった特徴を持つ炭化硼素セラミックスは、耐摩耗性が要求され るサンドブラストノズルに従来から使われてきた。しかし、曲げ強度や破壊靱性などの機械的特性が十分でなく、また、一般に2100℃を越える温度でホットプレで製造するので製品形状が限定され、かつ硬いので機械加工に大変な労力を要するため、他の用途に検討されることはほとんど無かった。
本特許によれば、従来発表値より遙かに高い600MPa以上の4点曲げ強度と3.0MPa・m1/2以上の破壊靱性を有し、かつ電気伝導性が高いので放電加工によって形状付与が容易な、新規窒化硼素セラミックスを得ることが出来る。
このように、本特許は新規な炭化硼素セラミックス材料を提案するものであり、今後の用途開発により、従来炭化硼素が使われてこなかった耐摩耗部材や機構部材などで新しい市場が開けることが期待される。
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