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平成28年度第3回イブニングセミナー
横浜国大 中尾先生

イブニングセミナー(横浜国大中尾先生)
11月22日JFCA平成28年度第3回イブニングセミナーがJFCA会議室で実施されました。

 トレンドの話題について理解や議論を深めていただくために、JFCAではイブニングセミナーを開催しています。今回は、横浜国立大学 大学院工学研究院 准教授 中尾先生に「22世紀の構造用材料のすがた」について、ご講演いただきました。

構造用ファンセラミックスは飛躍的に性能を伸ばし、数多くのアプリケーションが誕生しました。しかしながら、優れた特性を持っているのにもかかわらず、表面欠陥、き裂、信頼性などの言葉の前に他の材料の後塵を拝する場合があります。このハードルをどのように飛び越えるかは、構造用ファインセラミックスに携わる方々が常に考えているテーマではないでしょうか。

20世紀から21世紀にかけて材料製造技術は革新的な進歩を遂げてきました。その一つの潮流が生体模倣です。今回のイブニングセミナーで取り上げた自己治癒材料は、稼働中に化学反応を積極的に用いることにより、生体の動的機能を模倣した材料であり、その先進性は多くの産業界から注目を集めています。自己治癒材料を含めた生体の動的機能模倣材料の特性、優位性を紹介したのち、これらの材料によるイノベーション像について議論いただきました。

ご講演では、まず研究対象に触れられて、インパクトのある「幸いに」という言葉を用いられ、自己治癒セラミックスの開発は世界的に遅れているとして、研究事例の数々をご説明いただきました。さらに、工学的な背景として航空機産業へ取り組む必要性、さらに中圧タービン翼材料として十分な自己治癒性を発現する新材料の開発成功事例をご紹介いただきました。そして、演題にあるような、自己治癒材料が22世紀の構造材料とするためには、使用することで周囲環境になじむ材料が必要であり、そのためには工学研究者だけではなく社会科学研究者の協力が必要であると、新時代の材料創出にふさわしい内容で締めくくられました。

フリーディスカッションに移ると、今までのイブイングセミナーには見られない状況が現れました。通常だと、講師の先生の知識を深く吸収しよう、或いは自己の持つ課題を解決するサジェスチョンを得ようとする内容が多いのですが、参加者が、本開発材料やアプローチ方法を如何に発展させていくかを、それぞれの立場や知見をベースにして議論をする場になりました。出席者全員が真剣に考え、大きな刺激を受けるセミナーとなりました。

最後になりますが、中尾先生とご参加いただいた皆様方に感謝をいたします。





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