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平成29年度第1回見学会
JAXA相模原キャンパス

関西リサイクルシステムズ
5月26日JFCA第1回見学会が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパス(相模原市)で実施されました。この見学会は広報委員会交流企画分科会の企画で、35名の参加者がありました。

 JAXAは、2003年に宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団の3機関が統合して誕生し、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関と位置付けられ、同分野の基礎研究から開発・利用に至るまでを一貫して行っています。このうち相模原キャンパスは、旧宇宙科学研究所の中核部として、1989年4月に開設され、宇宙に関するさまざまな謎を研究しており、各地で活動している宇宙科学の研究者たちの頭脳が結集できるような役割を担っています。敷地内には研究・管理棟、研究センター棟、そしてロケット・人工衛星搭載機器の基礎開発/試験を行う特殊実験棟などが設置されています。本見学会では、日本の宇宙開発の歴史と開発最前線を体感していただくとともに、宇宙という過酷な状況で使用される材料の重要性を実感する機会となりました。

JAXA2
見学会当日は、見学会全体をアレンジした宇宙科学研究所教授である佐藤英一先生からご挨拶をいただいたあと、並木様から見学コースのご説明を受けました。展示室では、日本ロケット歴史として、ペンシルロケットから固体燃料ロケットの歴史が紹介されました。続いて衛星・探査機のコーナでは、日本初の人工衛星「おおすみ」や月周回衛星「かぐや」の模型、イオンエンジンを4基搭載した小惑星探査機「はやぶさ」の実物大模型、電波天文衛星「はるか」では打ち上げ後の宇宙環境で広げて使用可能なごく薄いメッシュアンテナや耐熱構造については説明を受けました。宇宙工学のコーナでは、何度も繰り返し飛行可能な再使用ロケットの実験機模型、成層圏で利用する大気球に使用されている超極薄フィルムは実際に触ることができ、その薄さに驚かされました。

屋外に移動して、約30mの実物大ロケットM-3SⅡ及びM-Vロケットを見学しました。100トン以上あるロケットの鋼板の厚さが6mmであるとの説明を受け驚かされると共に、間近で見るロケットについての質問が多く発せられました。
見学コース終了後の休憩時間では、勧められた構内にある売店へ向かいました。こちらでは、ユニークな宇宙グッズ等とともに宇宙食が販売されており、お土産に購入する参加者の姿が見受けられました。

休憩後は会議室に戻って、佐藤英一先生による講演「宇宙科学における材料開発最前線」を受講しました。窒化ケイ素製のセラミックススラスタ(推進装置)について、圧縮ねじり試験に耐える材料としてセラミックス部品開発が行われたとの説明がありました。「あかつき」ではセラミックスと金属を接合したスラスタの開発状況について解説が行われました。話題のCMCについて質問が寄せられましたが、スラスタ用途では、あと数年はかかるのではないかとのご回答でした。
続いて構造機能試験棟の見学に移りました。材料実験室では、実際にセラミックス等の材料の評価に使用されたオートグラフ(精密万能試験機)や油圧サーボ疲労試験機などを実際に見ることができました。体育館ほどの大きな部屋では、スピンテーブルや大型定盤があり、剛性がある製品の評価が行えるようになっていました。

見学終了後には、会議室に戻り全般を通しての質疑応答が行われました。見学会・講演・実験室見学を通して多種多様の質問があり、参加者の方々が色々な切り口で宇宙分野における材料について興味を持たれていることを感じました。

最後になりますが見学会開催にご尽力いただきました佐藤英一先生、当日ご対応いただいた皆様、見学会にご参加いただいた皆様のご協力に、心より感謝いたします。
これからもタイムリーで皆様の関心にそった見学会を進めてまいります。




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