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平成28年度第4回イブニングセミナー
東大 柴田先生

イブニングセミナー(東大柴田先生)
2月22日JFCA平成28年度第4回イブニングセミナーがJFCA会議室で実施されました。

トレンドの話題について理解や議論を深めていただくために、JFCAではイブニングセミナーを開催しています。今回は、東京大学 大学院工学系研究科総合研究機構 准教授 柴田先生から「原子レベルからのセラミックス界面構造解析」について、ご講演いただきました。

当たり前のように利用しているセラミックスの特性について、その特性が発生する理由については正確には理解されていない場合がありました。近年の解析技術の進化によって、現象を把握し、さらにコントロールすることにより、セラミックスは新たな性能を発現することが可能になっています。その中でも特に界面の構造解析については、優れたアプローチにより多くの知見が得られています。
特に、セラミックス内部に形成される粒界・界面構造は、その機械・機能特性に大きな影響を及ぼすことが知られています。近年の電子顕微鏡技術の高度化によって、セラミックスの粒界・界面がどのような原子構造を形成し、機械・機能特性を発現するのかに関する本質的な理解が進みつつあります。このような状況を踏まえて、柴田先生から、最新の電子顕微鏡技術及びそれを用いたセラミックス界面構造解析例についてご講演いただきました。

ご講演では、まず先進透過型電子顕微鏡法(STEM)について、0.1nm以下の分解能を持ち、局所界面の原子構造を直接観察することが可能であるとのご紹介がありました。続いて材料研究への応用例として、元素の微量添加により性能が向上したセラミックス界面において、元素を直接観察することにより、その働きを解明し理論的な裏付けを構築できるとのご説明がありました。また、分解型検出器の開発として、同時に16枚の原子分解能STEM像の観察に成功し電磁場を直接観察することが可能になり、半導体p-n接合に応用した例をご解説いただきました。今後の展望としては、原子を取り巻く電子の振る舞いを原子スケールで観察できるかが大きな焦点となり、そのために電子顕微鏡をもう一段進化させる必要がある、と力を込めたご発言で締めくくられました。

フリーディスカッションに移ると、本分野に興味を持っている方々ならではの深い質問が柴田先生に寄せられました。また、柴田先生からも参加者に対して質問があり、電子顕微鏡の開発状況、海外動向、試料作製手法、測定環境など様々な話題が取り上げられました。第一人者をお迎えして同じフィールドにいる参加者一人ひとりが自由に意見を述べられる場にふさわしい議論が展開されました。終了時間が延長してしまいましたが、ご参加いただいた方々には満足いくフリーディスカッションだったのではないでしょうか。

最後になりますが、柴田先生とご参加いただいた皆様方に感謝を申し上げます。





一般社団法人日本ファインセラミックス協会:ページの先頭へ戻る