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5.2025年度の標準化事業


(1)ファインセラミックス標準化プログラムの策定とその推進

「JFCA 委員会規程」および新たに制定した「標準化に関する委員会規程」に基づき、標準化プログラムを推進します。
標準化プログラムの最高執行機関である標準化委員会の役割として、①年次計画の立案と推進、②新規標準化テーマの承認、③標準化原案の作成と承認、④日本提案の規格発行に向けた審議参加、関連国際会議への日本代表団の派遣計画の承認、⑤外国提案の規格案に関する協議・対応、⑥発行済み規格のシステマチックレビュー(利活用状況の調査と規格の維持・管理)、⑦ファインセラミックスに関する ISO 規格の国内への普及を加え、これを推進して行きます。


(2)調査研究
  <国際標準化にむけた規格原案作成>

①ISO/TC 206(ファインセラミックス)
 政府戦略分野に係る国際標準開発活動として経産省からの支援を受け、包括的な国際標準化活動を推進します。背景には昨今活発化する中韓での標準化政策があり、その政策が日本産業界の障害とならないよう、幹事国として日本の戦略立案・外国提案規格内容精査の強化を目指します。また、ファインセラミックスに関する規格原案作成団体として下記のテーマについて国際規格原案の作成を行います。

(a) カーボンニュートラルに向けた脱炭素・再生可能エネルギーの有効活用と熱エネルギーマネジメントに関する国際標準化
 カーボンニュートラルの実現に向けて、工業炉や、余剰電力を大規模長時間蓄電できる蓄熱発電システムに使用されるセラミックス蓄熱体の性能や材質による分類の国際標準化を目指します。

(b)次世代パワエレ絶縁基板の動的熱特性評価方法に関する国際標準化
 世界規模でのカーボンニュートラル達成、脱炭素社会実現には次世代パワー半導体の普及が不可欠です。これまでの事業で開発した定常熱特性測定法および過渡熱抵抗測定方法を発展させ、セラミックス基板を実装したパワーモジュールの信頼性評価方法の国際標準化を目指します。                     

(c)長繊維強化セラミックス複合材料の試験法標準化に関する調査
 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの請負で、長繊維強化セラミックス複合材料の特性試験のうち、「樹脂含浸繊維束引張り試験」及び「面内せん断試験法」に関し、ISO化やJIS化の検討を推進し、戦略的に国際標準化を目指します。

(d) ナノ粉体を用いたセラミックスプロセスインフォマティクスに関する国際標準化
 ファインセラミックス粉体のナノ化や製造の高度化に伴い、プロセス上流のナノ粉体の粒度評価の試料調製通則と製品の結晶粒径の評価法の規格化を行います。粉体や金属等との技術分野、研究機関と連携しながら、セラミックス製造に有用となる規格を検討し、国際標準化を目指します。

(e) エネルギー関連材料の電気特性評価に関する国際標準化
 水素社会において活用される固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体酸化物形電解セル(SOEC)で使用されるイオン導電体について、固体酸化物形電気化学セルの単セル分極(過電圧)測定法と、3端子構造の交流インピーダンス法による過電圧測定法の国際標準化を目指します。

(f) ファインセラミックスの破壊靭性試験方法に関する国際標準化
 積層セラミックコンデンサ(MLCC)等に用いられるファインセラミックスの力学的特性を精度よく評価するための方法の一つとして、微小部破壊靭性の評価方法の国際標準化を目指します。またファインセラミックス材料バルク体の破壊靭性試験方法に関する既存のJIS、ISO規格について、最新の多種多様な材料特性に対応できる様に改正を目指します。

(g) セラミックス積層造形により得られた成形体の特性評価方法に関する国際標準化
 セラミックス積層造形は今後の普及が期待されていますが、共通のセラミックス積層造形物評価基準がないことが普及の妨げになっています。セラミックス積層造形最終製品の特性を左右する成形体・脱脂体の評価方法の国際規格原案を作成し、日本のセラミックス積層造形の普及を図ることにより市場を拡大します。

(h) 高精度・最先端センサに応用されるファインセラミックス薄膜の高精度赤外域透過率評価方法に関する国際標準化
 気象観測、自動運転、スマート農業分野などで利用される赤外線センサや撮像素子に用いられる、極薄・高機能なファインセラミックス薄膜の赤外域透過率はデバイス性能に直結する重要な特性です。この特性を高精度に評価する方法の国際標準化を目指します。

(i) SiCバルクウエハ品質試験法に関する国際標準化
 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、パワー半導体の性能向上が必須であり、今後Si半導体に代わってSiC半導体の適用が期待されている。SiCバルクウエハの品質試験方法の国際標準化を目指します。

②ISO/TC 150(外科用インプラント)
 医療分野での国際標準は欧米が先行しており、他国提案の精査を継続しながら日本主導の新しい標準開発を目指します。外科用インプラント(ISO/TC 150)のうち、外科用インプラント(全体)、材料(SC1)、人工関節及び人工骨(SC4)、骨形成(SC5)及び再生医療機器(SC7)、積層造形 (JWG1)、生体組成モデル(WG14)、抗菌特性 (WG16) に関する規格原案作成団体として下記のテーマについて国際規格原案の作成を行います。

(a) バイオセラミックスの造骨性評価に関する国際標準化
 バイオセラミックスの造骨性評価に関して、人工骨の骨形成活性測定方法の開発と人工骨の造骨性に関わる機械特性評価方法の開発の2つのテーマについて評価方法の検討やインターラボラトリテストの実施を経て国際標準化を目指します。

(b) 積層造形により作製した骨補填材料・生体モデルの特性評価方法の国際標準化及
び海外調査
 国立研究開発法人物質・材料研究機構から厚生労働省革新的医療機器等国際標準獲得推進事業の再委託を受け、上記事業の委員会運営と積層造形や生体材料に関する国内・海外の調査を行い、ISO/TC150での国際標準化を目指します。

以上

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