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平成30年度第4回イブニングセミナー
金沢工大 草野先生

イブセミ草野先生HP
11月30日JFCA平成30年度第4回イブニングセミナーがJFCA会議室で実施されました。

トレンドの話題について理解や議論を深めていただくために、JFCAではイブニングセミナーを開催しています。今回は、金沢工業大学 バイオ・化学部応用化学科 教授 草野先生から「スパッタリング技術による新機能薄膜材料の工業的展開」について、ご講演いただきました。

IOTあるいはAIが我々の生活を大きく変えようとしています。ファインセラミックス薄膜は、これら技術を支える重要なデバイス材料で、工業的には、化学気相成長法、蒸着法、あるいはスパッタリング法により堆積されます。
スパッタリング法はこれらの技術の中でも特有な特色を持つ方法です。
それらは、
(1)大面積低温基板あるいは基材に物性が良く、さらに均一性に優れた薄膜を堆積できる
(2)高融点金属あるいは高融点化合物薄膜を低温基板・基材に堆積できる
(3)ターゲット組成に基づいた複合組成の薄膜を堆積できる
(4)薄膜堆積プロセスが非平衡であるがゆえに、薄膜堆積速度および物性が幾何的にも時間的にも装置構成あるいは放電条件変化により変化する
(5)金属薄膜の堆積において薄膜堆積速度が高いが、化合物薄膜の堆積において薄膜堆積速度が低い
等が挙げられます。
今後ファインセラミックス薄膜が我々の生活の中で重要性を増すことが予測されます。

スパッタリング技術によるファインセラミックス薄膜の工業的応用は、酸化物、窒化物、および炭化物のすべてに至り、特に窒化物あるいは炭化物薄膜のスパッタリング法による堆積は、高融点材料を低温基板あるいは基材に堆積できるという特徴があります。
近年さらに、複合酸化物あるいは窒化物・酸化物混合体薄膜などもスパッタリング法により堆積されており、フッ化物あるいは硫化物薄膜堆積へのスパッタリング技術の応用も期待されています。
電気的には負性なガスを反応性放電ガスとする薄膜堆積法であり、従来は工業的展開が困難とされていた、いずれもスパッタリング法の工業的特徴をいかした基板大面積化、プロセス低温化、あるいはプロセス単純化などにより応用が広がります。
スパッタリング技術の弱点を克服しながら、その特徴をいかし、工業的に展開していくことが、我が国産業の東・南アジア等の諸外国に対する優位性を保っていくことにつながります。
セミナーにおいては、スパッタリング法の特徴を解説しながら、そのファインセラミックス薄膜堆積への応用について解説いただきました。

ご講演では、イントロダクションとして製造設備やスパッタリング法の工業的特徴について述べられました。プロセス、スパッタリング薄膜における膜構造について触れられたあと、放電圧力や粒子エネルギーについてご説明がありました。情報として薄膜構造モデルについて海外文献を中心に示されました。次に基本となるスパッタリング法として、2層スパッタリング法など、それぞれのスパッタリング法の長所・短所を解説いただきました。また、反応性スパッタリング法について事例を含めて特徴をご説明いただきました。
さらに、スパッタリングの得手・不得手と題して、各種スパッタリング法の得手を伸ばそうと提言をされました。具体的には、タングステンなどの高融点材料、TiCなどの固体源反応性スパッタリング、透明導電膜を挙げられました。それに対比して、不得手を克服しようと、フッ化物・硫化物・リン酸塩化合物薄膜堆積における負イオン抑制などの例を示されました。

フリーディスカッションに移ると、講演や配布資料に基づいた基礎から応用まで幅広い質問が寄せられました。フリーディスカッションの場にありながら、多くの参加者がメモを取る姿が見られ、草野先生のご説明への関心の高さが伺えられました。また、フリーディスカッション終了後も、残った参加者による質問が続き、より多くの情報がご提供されました。草野先生の気さくなお人柄にも魅了いただき、ご参加いただいた方々には満足のいくフリーディスカッションだったのではないでしょうか。

最後になりますが、草野先生とご参加いただいた皆様方に感謝を申し上げます。





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