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日本ファインセラミックス協会 会長 尾堂真一
2021年 年頭所感

尾堂会長_バストアップ_氏名入り

新年あけましておめでとうございます。

 昨年は、新型コロナウィルス感染症の流行、東京オリンピック・パラリンピックの延期、7月豪雨の甚大な被害など暗い話題が多く、これらの影響で経済的にも大きな痛手を負った1年でした。本年は東京オリンピック・パラリンピックの開催が実現することを期待し、新型コロナウィルスと共存する新たな社会を見据えながら、希望を持って明るく良い年にしていきたいと願う次第です。

 ファインセラミックス産業は右肩上がりの成長が続いており、2018年には国内生産総額は過去最高の3.2兆円に達し、ついに3兆円産業にまで成長しました。これはグローバル市場の中で約4割のシェアを占め、世界のトップとなっております。大きく成長した要因としては、スマートフォンをはじめとする情報通信向けの旺盛な需要ならびに、自動車の電装化・電子化の進展による電子部品や半導体の需要拡大、環境保全や医療分野の需要増加などが挙げられます。
 現在の日本の強みは「材料」と言われており、技術競争力のある「材料」が出口産業の競争力を支えております。昨年10月に政府はマテリアル分野における日本の優位性確保に向けて「マテリアル戦略有識者会議」を立ち上げ、日本の技術水準の向上を目指す「統合イノベーション戦略推進会議」の下で、政策づくりの方向性を議論することになりました。会議のメンバーにセラミックス関係者も参画しており、今後セラミックス材料開発の重要性が認知され、日本のセラミックス材料が世界トップレベルを走り続けられるような政策が策定されることを大いに期待しております。

 JFCAは、グローバル市場を睨んだファインセラミックス産業の振興と拡大を目指して、①世界ルールをリードする、②市場をリードする、③材料をリードする、という3本の矢で活動を展開しております。
 世界ルールをリードするという観点では、ISO/TC206(ファインセラミックス)、ISO/TC150(外科用インプラント)の国際標準化の幹事国として幹事国業務委員会、国内委員会を開催し、重要な役割を果たすとともに、各国をリードしながら世界のルール作りに貢献しております。
 市場をリードするという観点では、ファインセラミックス産業の業界団体として、会員企業の要望に応えることができるよう、①最新の技術情報、②生産・需要等の業界動向、③政策情報等の会報やホームページ等による情報提供、産業動向調査、見学会や海外調査団派遣等を通じての情報発信、ネットワーク作り等により、世界の工業会とともに活動してまいります。さらに、ファインセラミックス産業の振興を図るため、年2回「高機能セラミックス展」を共催し、セミナー開催や原料・製品・加工・生産設備・評価関連の企業に出展いただいております。
 材料をリードするという観点では、2021年12月の発行を目指して、昨年度より2016年に作成した「ロードマップ2050」の改訂を進めており、①市場動向、製品動向、技術動向の予測、②セラミックスのロードマップ戦略の策定、③パブリックヒアリングの開催を行ってまいります。また、新型コロナウィルスの影響で多人数が集まることが困難な状況下で、テクノフェスタ、イブニングセミナー等を積極的にオンラインにて開催し、新技術、新市場作りに向けた自己研鑽の場を提供するとともに、新市場の開拓、共同研究の支援、技術的な課題解決の場を提供できるよう努力してまいります。
 これらの活動がファインセラミックス産業の発展に寄与できるよう、皆様方のご理解とさらなるご協力をお願いする次第です。

 また、創立35周年を機に、ファインセラミックス産業の更なる発展を目的として、協会活動を象徴するロゴマークを会員より募集し、本年の総会にて新ロゴマークを公開する運びとなっております。さらに、会員を問わず多くのアクセスがある協会のホームページの充実を図っており、コンテンツの更新を定期的かつタイムリーに実施し、ファインセラミックス産業に信頼される情報発信源となるよう努めていく所存です。

 本年も、セラミックスファミリーの皆様のご協力をいただき、コロナ禍を乗り越えた新たな未来でファインセラミックス産業がさらに大きく発展すべく、最大の努力をしてまいります。皆様方からのより一層のご支援をお願い申し上げます。






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